2008-10-01から1ヶ月間の記事一覧

十月のこと

今月はすこし仕事がいそがしくて、ひさしぶりに遅くまで残業したりしました。仕事のことがなかなか頭から離れず、落ち着かない月でした。16日に健康診断を受け、特に問題はみつからず。そして今月10日から家計簿をつけはじめました。だいたいのことはお金の…

「ちからよわく」――渡辺玄英「けるけるとケータイが鳴く」

渡辺玄英の第四詩集「けるけるとケータイが鳴く」を読みました。そのことについて書くために、まず第三詩集「火曜日になったら戦争に行く」とPerfumeから起こしてみます。ぼくにとって渡辺玄英の詩とは「ぼくはここにいない」*1という不安を詠った詩ですが、…

「ぼくはここにいない」――渡辺玄英「火曜日になったら戦争に行く」

この詩集を買った日のことをおぼえています。春日駅の近くの「なか卯」で朝食をすませて店を出ると、幼稚園の制服を着た子が「太陽がない!」とさけんで、手をひく母親にしかられました。空には厚い雲がかかっていました。会社は、いつものように、まのびし…

戦死するぼくが見る戦争――渡辺玄英「火曜日になったら戦争に行く」

いつかぼくが「戦争」に行って、殺したり殺されそうになったりして、命が途切れる最後の数分間、もう時間の使い方も何も計算できなくなった混乱した頭で自分が参加した「戦争」について考えたとき、こんな錯綜した風景が見えるのだと思います。いつどうして…

書くことをやめたとき――アゴタ=クリストフ「昨日」

トビアスとリーヌ。このふたつの名を手放して子どもらに与えたとき、「私」は書くことをやめている。 「わたしたちはひとつの物語を生きているわけ?」 「そうさ、リーヌ、ぼくらはひとつの物語を生きているんだ」 「恋愛物語なの?」 「それはきみ次第さ、…

過去の消化――Type-Moon「Fate/stay night」

「声」も「仕草」も思い出せず、「事」だけを覚えている。そんな記憶のありよう。どのような今もそんなふうに消化していく他ないんだ、っていうことの理解。 「けど、今も夢に見る。これから先も、ずっとあいつの事を思い出すよ。いつか記憶が薄れて、あいつ…

忘れ方、始め方――エルフ「媚肉の香り」

律子とおなじ「忘れ方」。忘れているかのように振舞うこと。そしてもちろん、それは「始め方」でもあります。 「過ぎた事は…忘れなさい…。」 視線だけでなく律子は口調も優しい。 「…私と同じように。」 確かに彼女は最低限しか語らず。自分が事故にあった時…

午後の光が差し込む教室――フライングシャイン「CROSS†CHANNEL」

午後の光が差し込む教室。日に焼けてクリーム色になったカーテンが風を孕む。影が躍る。そのイメージだけで、ぼくは半分攻略されてしまう。 ――フライングシャイン「CROSS†CHANNEL」、企画・シナリオ:田中ロミオ

過去とおりあいをつける

「過去とおりあいをつける」ということは、ぼくの課題のひとつです。いつかこのことについてきちんと書きたい。

なぜキョンは語るのか――谷川流「涼宮ハルヒの憂鬱」

自分ではどうにもならないおおきな力によって混乱に引き込まれてしまいたい 元気な女の子が引き起こす事件に否応なく巻き込まれていく、一見すると不幸だけれども実は幸せなぼく――という主人公のお話は探せばたくさんあると思うのですが、そんなふうに、「自…

涼宮ハルヒの現在?それよりも――谷川流「涼宮ハルヒの憂鬱」

それまであたしは自分がどこか特別な人間のように思ってた。〔…〕でも、そうじゃないんだって、その時気付いた。〔…〕そう気付いたとき、あたしは急にあたしの周りの世界が色あせたみたいに感じた。〔…〕途端に何もかもがつまらなくなった。*1 しかし、わた…

円環しているように思われる時間――藤林靖晃「桂子と。」

ここには、くりかえされる たべること、ねむること があります。散歩すること、レコードをきくこと、絵をかくこと。わずかに ふれられる性のこと。 おとずれる客人は静かに去ってゆきます。時間はたしかに流れています。ですが、円環しているように思われま…

生活のモード

人には、一時的な気分や感情(ムードmood)とは別に、数年から十数年といった長期にわたって続くひとつの気分のようなものがあるように思います。ぼくはそれを「モード」(mode)と名付けて、ときどきモードについてぼんやりと考えます。ぼくは生活費をかせぐ…

旅行者の目で

毎日みている ありふれた風景が、ものすごく価値があるもののように 感じられるときが あります。 たとえば、病みあがりに 細くなった あしで 外を歩いたときなんか、目が さえてしまって、見るもの すべてが おもしろい。 そんなふうに みょうに感覚が さえ…

家計簿をはじめる

最近の経済ニュースをながめていると、「ボーナスへるんだろうなあ」という遣る瀬ない気分になり、将来への漠然とした不安を感じるとともに、「いつ買うか、なにを買うか、いくら買うか」ということを思います。「いつ買うか、なにを買うか」について、ぼく…

タレントになったニコ――黒田硫黄「セクシーボイスアンドロボ」

「大金星」に引き続き、黒田硫黄の「セクシーボイスアンドロボ」(1、2巻)を読みました。(「大金星」については「黒田硫黄が描く女の子の大声――「大金星」」に感想を書きました。) 将来はスパイか占い師になりたいという主人公の「林二湖(ニコ)」に国…