3月11日(金曜日)午後

明日から仕事で、あまり時間がないと思うので、とりあえず書いておく。

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会社(@東京)で大きな地震にあった。揺れ始めは「また?」と思ったけど、すぐ経験のしたことのない強い揺れ。特に2度目の揺れは、最初しばらく足下がコトコトなったのが、気味が悪かった。

会社の被害は物が落ちた程度だった。(扉を開放していたキャビネットからファイルが落ちる。壁時計が落ちる。壁紙にひび。机の引出しがすべて開いて、机上のマグカップ、筆立てが倒れ、書類が崩れる。)しかし、テレビで津波の映像を見て、ただ事ではないと思う。電話、携帯メールは不通。

会社から帰宅の指示/許可はでない。しかしこんな状況で仕事になるわけがない。ネットを見たり、不安を紛らわすために雑談をしながら定時を待つ。とても不愉快な時間だった。途中、書類を持参する人や、宅配便の集荷の「働く人」がやってくるのには驚いた。

17時、社畜の時間が終わる。水とカンパンとヘルメットを持って徒歩にて家に向かう。

帰宅途中で見た地震の被害らしきもの。窓ガラスが割れて落ちたビル。屋根瓦がズレた家。これらは運悪く下にいたら酷いケガをしただろう。古いビルで壁がすこし崩れているのがいくつか。注意してみていたから気が付いたけど、普段だったら気にせず通り過ぎた程度の崩壊。

普段ならちょうど1時間の道程だけど、帰宅者で歩道が混雑しており、場所によってはのろのろ歩きになったため、すこし余計にかかった。

エレベータは2基が停止、1基だけ動いていた。

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自宅のドアを開けるのに これほどドキドキしたのは初めてかもしれない。帰宅途中に、リビングのテーブルにウイスキーとバーボンの瓶を置きっぱなしだったことを思い出していた。

ドアを開けて ―― 部屋の様子に変わりはない。倒れた家具はなく、酒瓶も無事だった。酒瓶はすぐ床の上に降ろした。

家族に帰宅を知らせるメールを送ってから、家のなかを一通り確認する。電気、水道、ガスは使える。よく見ると家具が定位置からすこし動いていた。崩れた本を直す。

片付けを終えて、いつものコンビニに行ってみる。入り口付近にあるはずの買い物カゴがない。「あれ?」と思って店内を見回すと、帰宅できなくなった人達が買い出しに来ている。加工食品の棚はカラッポ。飲料水もない。スーパーも同様。レジが行列していてうんざりする。米5kg買って、ごはんを炊いて食べる。

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揺れがおさまって「少なくとも今ここで死ぬことはない」と認識したとき、朝、気掛かりなことがあったのに、それを解決しないまま会社に来てしまったことを思い出して(酒瓶のことではなく)、とても後悔した。ああ、でもまだ取り返せると思った。無事帰宅して、夜、一応それを解決して、(おおげさだけど)生きていてよかったと思った。もう後悔したくないと思った。何かきちんと考えないといけないことがある、という観念にとらわれる。