無題(手紙渉猟師の書いた手紙)

昨日の収穫が鍵になった。一読して真冬の雲海が開けて周囲の光量が増し、それとわかった。急いで家に戻り、食事もとらずに寝ずの分析を続けた。海岸での驚きは、徐々に確信に変わっていった。私がこれまでにひろい集めた たくさんの手紙の無数の無名の書き手たちが、ある一つの認識を共有していると仮定して総合・推理すると、つまり、事態はこういうことらしい。


かつて無償の愛を求めて離散した「失われた世代」の信仰する異形の宗教の創始がこの国のどこかで用意されつつあり、空色のバイブルを手にした信者たちは互いに連絡を取ろうとして手紙を瓶に封じ、海に投じている。


事ここに至ったからには、あなたに伝えるため、手紙を書くことにする。