「おおらかな合理主義」――山崎元 『超簡単 お金の運用術』
本を読みました。山崎元(やまざき・はじめ)著 、『超簡単 お金の運用術』*1です。
著者は私が信頼する ただひとりの経済評論家です。もっとも、私が名をそらんじている経済評論家は一人だけなので、私の経済評論家評はあてにならないかもしれませんが…。
信じることが悪徳とされる現代において、私が山崎さんを信頼するというのは、《山崎さんが これまでに言ってきたことは正しかった。だから、これからも山崎さんが言うことは正しいだろう》ということではありません。
私の信頼は、ていねいに表現するならば、山崎さんの「考え方」への信頼です。
この本の「あとがき」を読んで、その考え方が「おおらかな合理主義」と名付けられていることを知りました。引用します。
1.結論がでるものについては勇気をもって優劣をつけて選択し、しかし、
2.努力で改善できないものについてはくよくよとこだわらず、
3.事前の意思決定としておおむねベストならそれでいいのではないか、という本書の基本思想は お金の運用ばかりでなく、人生全般を快適にするためにも役立つ こころの持ち方ではないかと著者は思っています。
ずいぶん昔のことになりますが、ふりかえってみると、著者は「くよくよとこだわる」タイプのこどもであり、若者だったような記憶があります。しかし、就職して、さらに転職し、ファンドマネジャーという お金を運用する仕事をするようになって、意思決定では結果ではなく「事前のベスト」に集中すべきことと、自分ではコントロールできない部分については気にしても仕方がないことを実感して、気がついてみると、ここであげた1.2.3.のような考え方をするようになっていました。それからは、毎日が ずいぶん楽に過ごせるように なりました。
本書は、99%以上「実用書」ですが、実用的な方法の くみたてに あたっては、このような かんがえかたが背景にあります。自分では、これを「おおらかな合理主義」だとおもっていますが、読者には、運用の方法といっしょに、こうした考え方も くみとっていただけるとうれしく思います。
山崎元「超簡単 お金の運用術」
- 作者: 山崎元
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2008/12/12
- メディア: 新書
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