石川美南「砂の降る教室」

『砂の降る教室』をよんだ。
読み始めて早々に「教室」とは大学の教室であると知らされたときには、「ぼくには縁遠いお話なのかなあ」と思った(ぼくにとって教室とは小中学校の教室なので)。けど、そうでもなかった。

「お話」――そう、これはお話のようだ、と思った。


いちばんすきなのはこれ。

百匹の猫引き連れて海に行く気分 にやりと君が笑へば
石川美南「砂の降る教室」(スキップ)


以下を想起した。

ポケットに銀貨があれば海を買ふつもりで歩く祭りのゆふべ
光森裕樹

ぞろぞろと鳥けだものをひきつれて秋晴の街にあそび行きたし
前川佐美雄

夕闇にまぎれて村に近づけば盗賊のごとくわれは華やぐ
前登志夫